解体見積メーカー

解体工事 見積書

解体工事の見積書の書き方と内訳(木造30坪の記入例・産廃の品目別計算)

解体工事の見積書は、「一式いくら」だけだと、お客さまが中身を比べられず、追加の費用が出たときにも説明しにくくなります。内訳の分け方、産業廃棄物を品目ごとに計算するやり方、見積に関わる手続きを、木造2階建て30坪の記入例で説明します。

先に結論

  • 内訳は「建物本体の解体」「付帯工事」「産業廃棄物の処分」「運搬・諸経費・手続き」の4つに分け、それぞれ数量×単価で書きます。
  • 産業廃棄物は、木くず・コンクリートがら・石膏ボードなど品目ごとに、処分先の単価の単位(m³かt)に合わせて数量を出します。
  • 床面積80㎡以上の解体は建設リサイクル法の届出の対象(30坪は約99㎡)。石綿(アスベスト)の事前調査は規模にかかわらず必要です。
  • 地中埋設物や残置物など、見積の時点でわからない費用の扱いを備考に書いておくと、あとのトラブルを減らせます。

01見積書に書く項目

解体工事の見積書の構成 見積書の上から、宛名・見積日・有効期限、工事名・場所・建物の概要、税込の合計金額、内訳(建物本体の解体、付帯工事、産業廃棄物の処分、運搬・諸経費・手続き)、小計・消費税・合計、備考、自社の情報と登録番号の順に並ぶ。 御見積書 宛名 ○○様 見積日・番号 有効期限 工事名・工事場所 構造・階数・延床面積(坪と㎡)・工期の目安 御見積金額(税込) ¥ ――― 内訳(数量 × 単価) 1 建物本体の解体 2 付帯工事(塀・土間・庭木 など) 3 産業廃棄物の処分(品目別) 4 運搬・諸経費・手続き 小計・消費税・合計 備考・条件 追加費用の扱いなど 自社情報 登録番号
図:見積書の構成の例。並び順は会社ごとに変えてかまいません。
  • 宛名・見積日・見積番号・有効期限:有効期限があると、処分費の値上がりなどがあったときに見積を出し直しやすくなります。
  • 工事名・工事場所:例「木造2階建て住宅 解体工事」。
  • 建物の概要:構造(木造・鉄骨造・RC造)、階数、延床面積。坪で計算する場合も、㎡を並べて書くと、届出の要否(80㎡)を判断しやすくなります(1坪=約3.306㎡、30坪=約99.17㎡)。
  • 工期の目安と支払い条件。
  • 内訳:品名・数量・単位・単価・金額。
  • 小計・消費税・合計。
  • 備考:見積に含まないもの、追加になる条件。
  • 自社の情報:会社名、住所、電話、担当者。インボイス発行事業者なら登録番号(請求書では必須の記載事項です)。

02内訳の分け方(4つのまとまり)

まとまり主な品名数量の単位
1 建物本体の解体構造ごとの解体工事坪 または ㎡
2 付帯工事ブロック塀・フェンス・土間コンクリート・庭木・庭石・カーポート・物置・浄化槽・井戸 などm、㎡、本、個、基、式
3 産業廃棄物の処分木くず・コンクリートがら・石膏ボード・混合廃棄物・金属くず・瓦・ガラス陶磁器くず などm³ または t
4 運搬・諸経費・手続き運搬車両・重機回送・養生シート・足場・整地・近隣あいさつ・石綿の事前調査・届出の手続き など台、回、式

表は横に動かせます。

建物本体の坪単価に、産業廃棄物の処分費や運搬費を含めるかどうかは会社によって違います。どちらの書き方でもかまいませんが、含める場合は「処分費込み」と書き、含めない場合は別の行に出して、二重に計上しないようにします。お客さまが他社の見積と比べるときにも、ここがはっきりしていると説明が楽になります。

03記入例:木造2階建て30坪

単価はすべてサンプルです

下の単価と数量は、書き方を説明するための例(サンプル)です。地域や時期の相場を示すものではありません。実際の見積は、現地調査と自社の単価、処分先の受入単価で作ってください。

条件:木造2階建て、延床30坪(約99.17㎡)。付帯工事あり。建物本体の坪単価には産業廃棄物の処分費と運搬費を含めず、別の行に出す書き方です。

サンプル木造2階建て30坪 解体工事 内訳(例・単位は円)
品名数量単価金額
1 建物本体の解体
木造 解体工事30坪35,0001,050,000
2 付帯工事
ブロック塀撤去12m4,00048,000
土間コンクリート撤去20㎡3,00060,000
庭木撤去3本10,00030,000
残置物処分4m³12,00048,000
3 産業廃棄物の処分
木くず処分18.0m³6,000108,000
コンクリートがら処分12.0t5,00060,000
石膏ボード処分3.0t25,00075,000
混合廃棄物処分9.0m³15,000135,000
金属くず処分0.6t3,0001,800
瓦処分6.0t10,00060,000
ガラス・陶磁器くず処分0.6t10,0006,000
4 運搬・諸経費・手続き
運搬車両(4t車)6台35,000210,000
重機回送費2回30,00060,000
養生シート・足場1式150,000150,000
石綿(アスベスト)事前調査1式50,00050,000
建設リサイクル法の届出手続き1式20,00020,000
近隣あいさつ1式10,00010,000
整地1式30,00030,000
小計(10%対象)2,211,800
消費税(10%)221,180
合計2,432,980

まとまりごとの小計(例)

  • 建物本体:30坪 × 35,000円 = 1,050,000円
  • 付帯工事:48,000+60,000+30,000+48,000 = 186,000円
  • 産業廃棄物:108,000+60,000+75,000+135,000+1,800+60,000+6,000 = 445,800円
  • 運搬・諸経費・手続き:210,000+60,000+150,000+50,000+20,000+10,000+30,000 = 530,000円
  • 小計 2,211,800円、消費税 221,180円(1円未満切り捨て)、合計 2,432,980円

産業廃棄物の数量と運搬車両の台数は、延床1坪あたりの係数をかけた概算(次の章)で出しています。この例の係数もサンプルです。

04産業廃棄物を品目別に計算する

1. 品目を、処分先の受け入れ区分に合わせて分ける

解体工事で出る廃棄物は、品目によって処分先も単価も違います。見積の品目は、実際に持ち込む処分場の受け入れの区分に合わせておくと、あとで請求額と見積がずれにくくなります。法令上の産業廃棄物の種類(廃棄物処理法施行令第2条)との主な対応は次のとおりです。

見積の品目法令上の主な種類
木くず木くず(建設業に係るもの。工作物の新築・改築・除去に伴って生じたもの)
コンクリートがら工作物の新築・改築・除去に伴って生じたコンクリートの破片など(いわゆる「がれき類」)
金属くず金属くず
ガラス・陶磁器くずガラスくず、コンクリートくず(工作物の除去などに伴うものを除く)及び陶磁器くず
石膏ボード・瓦・混合廃棄物処分先によって受け入れの区分や条件が分かれるため、処分業者に確かめる

表は横に動かせます。

2. 単位は処分先の単価に合わせる(m³かt)

処分場の単価は、品目によって「1m³あたり」と「1tあたり」があります。見積の単位も同じにします。容積と重さを換算する場合は、自社の過去の計量票など根拠のある数字を使ってください。

3. 数量を出す

  1. 現地調査で、屋根材(瓦・スレートなど)、内装材(石膏ボードなど)、基礎、残置物の量を確かめます。
  2. 概算する:延床面積に、品目ごとの「1坪あたりの量」をかけます。記入例では、木造で木くず0.6m³・コンクリートがら0.4t・石膏ボード0.1t・混合廃棄物0.3m³・金属くず0.02t・瓦0.2t・ガラス陶磁器くず0.02t、運搬車両0.2台を1坪あたりのサンプル係数にしています。係数は自社の過去の工事の実績から作るのが確実です。
  3. 調整する:瓦屋根でなければ瓦を0に、土間や基礎が大きければコンクリートがらを増やす、など現地の状況で直します。
  4. 精算の条件を決める:実際の量は、処分場の計量票や産業廃棄物管理票(マニフェスト)でわかります。見積と大きく違ったときに精算するかどうかを、備考に書いておきます。

計算のしかた(記入例の木くず)

30坪 × 0.6m³(1坪あたり・サンプル係数)= 18.0m³ → 18.0m³ × 6,000円(サンプル単価)= 108,000円

運搬車両は端数を切り上げて台数にします:30坪 × 0.2台 = 6台

なお、解体工事が下請けを含めて行われる場合、工事で出る廃棄物の「事業者」(排出事業者)は、発注者から直接請け負った元請業者とされています(廃棄物処理法第21条の3)。

05見積に関わる法律と手続き

建設リサイクル法(床面積80㎡以上の解体)

  • 建築物の解体で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の工事が対象です(施行令第2条)。30坪(約99.17㎡)の住宅の解体は対象になります。
  • 発注者(または自主施工者)が、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事に届け出ます(法第10条)。届出の窓口は工事のある自治体の案内で確かめます。杉並区の案内では、発注者以外の人が届け出る場合は委任状を付けるとされています。
  • 発注者から直接請け負おうとする業者は、建物の構造、工事着手の時期と工程、分別解体等の計画、建設資材の量の見込みを書面で発注者に説明します(法第12条)。
  • 契約書には、分別解体等の方法や解体工事に要する費用などを書きます(法第13条)。見積の段階から解体費用を分けて出しておくと、契約書を作るときにそのまま使えます。

石綿(アスベスト)の事前調査

  • 解体・改修工事では、規模の大小にかかわらず、工事の前に石綿の有無を事前調査します(設計図書などの書面と、目視の両方)。
  • 建築物の事前調査は、2023年10月から、建築物石綿含有建材調査者など一定の要件を満たす人が行う必要があります。
  • 解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事などは、結果を電子システムで労働基準監督署などに報告します(2022年4月から)。
  • 結果の記録は3年間保存し、工事中は現場に掲示します。

見積の段階で調査の結果が出ていない場合は、「石綿含有建材が見つかった場合は、除去の費用を別途お見積りします」のように、扱いを備考に書いておきます。

建設業法の見積書(材料費等記載見積書)

建設業法第20条では、建設業者は請負契約を結ぶとき、工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業と準備に必要な日数を書いた見積書(材料費等記載見積書)を作るよう努めなければならないとされています。注文者から求められたときは、契約が成立するまでに交付します。

06見積書から請求書へ(インボイス)

工事が終わったら、見積書の内容をもとに請求書を作ります。インボイス発行事業者が出す請求書(適格請求書)には、国税庁が示す次の事項が必要です。

  1. 交付先(お客さま)の氏名または名称
  2. 自社の氏名または名称と登録番号
  3. 取引年月日
  4. 取引の内容
  5. 税率ごとに区分した対価の合計と、適用税率
  6. 税率ごとの消費税額

解体工事は通常10%の取引なので、「10%対象 ○○円、消費税 ○○円」と書きます。見積から金額が変わった場合(追加工事や産廃の精算など)は、変わった行を請求書でわかるようにしておきます。

07備考に書いておきたいこと

  • 地中埋設物:解体後に古い基礎・浄化槽・ガラなどが見つかった場合の扱い(別途見積、など)。
  • 石綿含有建材:事前調査の結果によっては除去費用が別にかかること。
  • 残置物:家具や家電などが残っている場合の扱い。量が変わったら精算するか。
  • 産廃の数量:計量票やマニフェストで確定した量で精算するかどうか。
  • 前面道路・車両:道路使用許可が必要な場合や、大きな車両が入れない場合の扱い。
  • 見積に含まないもの:滅失登記、ライフラインの停止の手続き、境界の確認など。

出典

いずれも2026年10月29日確認。

  1. 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第10条・第12条・第13条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000104
  2. 同法施行令 第2条(建設工事の規模に関する基準) https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000495
  3. 杉並区「建設リサイクル法による届出について」(届出の時期・委任状) https://www.city.suginami.tokyo.jp/s096/1881.html
  4. 厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「工事の元請業者の方」 https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/business/prime-contractor/
  5. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第21条の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
  6. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第2条(産業廃棄物の種類) https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300
  7. 建設業法 第20条(建設工事の見積り等)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
  8. 国税庁「インボイス制度について」(インボイスの記載事項) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm

この記事は、法令と公的機関の公開情報をもとに運営者がまとめた一般的な情報です。記入例の単価・数量・係数はサンプルで、相場を示すものではありません。届出や調査の要否、契約の内容は、工事のある自治体や専門家に確かめてください。運営者は解体業者ではありません。